底辺労働
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炎天下で道路の草刈りをする人がどれほどのお金をもらっているかご存知でしょうか?
仕事は何でも大変ですが尊敬されることもなく、かえって見下される仕事。
日に焼け突然の雨に濡れ、虫に刺され、ドブに落ち、靴は泥まみれ。心は屈辱感にまみれる。
昼にはぬるい弁当をタバコ臭い車内で冷房をきかせて食べ、1日に3リットルのジュースを飲む。
作業服も安全靴も革手袋も自分で購入しなければならない。
まだ裕福な大学生が、アルバイトでしているのなら希望が持てる。
夏休み、アウトドアスポーツ用に買っておいた高性能の服で楽しく汗を流しておっちゃんに可愛がられて、遊びの資金になる10万円を手にする。
「また、暇なときはいつでも来てくれよね。月に1度でもいいから手伝ってくれたら助かるよ。ありがとう!」
働いているのは30代から70代の人。
30代の人は社長の息子かもしれません。好き好んでこんなきつい仕事をする人はいませんから。
40代、人間関係に疲れて会社勤めを続けられなくなった人。50代、リストラにあった人。60代、年金のない人。70代、脚に障害があり異様に背の低い人。
生きていくために働いている。
「未経験でも月給30万可能です。福利厚生あり。」
こんな広告を見かけました。
でもよく読むと「未経験者は日給8000円から」とも。
実際にどれくらい稼げそうか考えて見ます。
25日は働くつもりかもしれないが雨の日は休み。
仕事のない日も休み。
運よく20日働けたとして16万。
手取り13万。
その中から安全靴や作業着、カッパ、道具、手袋を買う。
毎晩、雨の天気予報におびえながら眠る。
すれ違う時、誰もが頭を下げる医師。
薬剤師。レントゲン技師。まだ若い看護師。疲れて太り気味の看護師。微妙に制服の違う介護士。理学療法士。
栄養士。調理師。
事務方。
メンテナンス業者、清掃業者。
清掃で働くのは病院の最下層。
時給も最低。気楽でいいと思うかもしれないけれど誰も見向きもしない存在。
尊敬されることもない。
冷房の効いた病院内なのに半そでで汗びっしょり。
1年中人が寝ている病棟でも毎朝、清掃が入る。
「失礼します。カーテン開けてよろしいですか。おはようございます。
ありがとうございます。ベッドの下、ちょっと失礼しますよ。
はい、ごめんなさい。」
こう言いながら4人部屋の掃除をしていく60代の女性。
68歳まで介護の仕事をしていた。
にこやかに静かに言葉遣いは丁寧に。
病人だから具合が悪く機嫌の悪い人もいる。
おはようございます、と言われても返事もしない。
静かに寝ていたいのに毎朝来て静穏をじゃまする清掃業者を面倒だと思う人もいる。
喋り過ぎると清掃員は嫌われる。
変に親しくなると汚したところを綺麗にしてもらうのが恥ずかしいし使いづらくなるのでできるだけ親しくせず、挨拶もしない。
医師のまとう白衣は肩パッド入りで権威を示す。
清掃員の制服はわざとかと思うほどダサくデザインされている。
同じ場所で働いていても一緒にご飯を食べたり遊んだりはしない。
挨拶さえしない。
白衣のままコンビニに行く医師はいるが制服のまま買いものに行く清掃員はいない。
その制服を着ているだけで店員の態度がぞんざいになるからだ。
世の中の仕組みを作り動かす人たちにとっては自分達から遠い世界で安く汚い仕事をしてくれる人達がいてくれるとありがたい。
生きていくための椅子取りゲーム。
椅子にあぶれたくなかったら弱そうな人を押しのけて先に座るしかない。
だからなくならない、椅子にあぶれ低賃金でさげすまれながら働く人たち。